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東京・初台は音楽の街 [クラシック雑感]

官能的で悩ましくて麻薬のような独特の旋律。聴いていると人の感情を内から煽り立てるような刹那というかそんな仕掛けを感じてしまう。ワーグナーの10大楽劇作品の中でも、かなり異端で特異な旋律だと思う。


ワーグナーは、トリスタンとイゾルデは、私の作品の中で最高傑作だ!と豪語している。


ワーグナーが奥さんとの生活に行き詰まりを感じて、不倫に行く末を求める。でも敵わぬ恋。そんなもどかしい行き場のない刹那な気持ちを作品に投影させたのが、トリスタンとイゾルデだ。


自分の作品の中では、本命は絶対ニーンベルグの指環四部作だったのは間違いない。でも本命作曲中に、とりあえずちょっとそれを置いておいて、ふっと息抜きに作ってみた曲がすごい大傑作になってしまった。


世の中ってそんなものだ。(笑)商品開発なんて、本気を出してよっしゃ~やったるぞ~と気合を入れて開発したものはそんなに思っていたほど伸びず、なにげなくふっと息抜きに出した商品が大ヒットしてしまう。本人たちもびっくり。これが世の中の真実。神様のいたずら。人生なんてそんなものなのだ。


スミマセン、史実関係かなりいい加減な記憶の元で書いているので、間違っていたらすみません。(笑)


このトリスタンとイゾルデは、なんでこんなにエロイんだろう?

まさに”官能的”という表現がいちばん的を得ている言い回しだと思います。


前回の日記でも告白したように、このオペラ、自分にとっては、なかなか複雑な境地で難しい楽劇なのです。何回も試行錯誤しながら、挑戦して、あまり他人の評価の言いなりにならず、自分の頭で理解して、自分なりに解釈して、それを何回も繰り返してきたオペラである。


だから自分にとっても忘れられないのである。


13年前の2010/2011年シーズンの新国立劇場プロデュースのプロダクションだそうで、今回は13年ぶりにその再演という位置づけだ。


大野和士さんは、そのときも指揮をして、今回も手兵の東京都交響楽団と最高の芸術を表現してくれた。あっぱれ!心から賛辞を贈りたいと思う。大野さんは新国立劇場芸術監督の任期も更新ということで、ますます素晴らしい作品を新国立劇場から贈りだしてくれることを心から期待しています。


さて、日本のオペラの神殿、新国立劇場。オペラの会場としては、昔からの所縁で東京文化会館が使われることも多々あるが、やはり日本のオペラは、この新国立劇場が中心になって動いていることは間違いない。


クラシックにとってオーケストラコンサートとオペラは両輪である。

これは小澤征爾さんがカラヤンから授かった大事な教えだ。


自分もそれはわかっているので、半々ペースで行きたいところなのだが、やはりオペラはヘビーなんだよね~。(笑)オペラに行くのはなかなかハードルが高いです。でもオペラは総合芸術。オペラからいろいろなものを一度にたくさん学べる。学べるものがたくさんある。そういう点からもこれからも自分のマイペースだけどオペラは楽しんでいくことになるであろう。


新国立劇場に行ったのは何年振りだろう?新国オペラを観たのは何年振りだろう?コロナ前だから、たぶん軽く8年は経っている。8年もオペラに行っていない。オペラを観るいい機会だったのが、海外音楽鑑賞旅行だ。海外旅行では、かならずオペラを入れるのが基本方針だ。オペラは海外で学ぶと言ってもいいと思う。


そんなまったくのご無沙汰だった新国立劇場を見参して、基本は変わっていないな、と思うものの、いまこんな感じになっているの?というところも多々あり、驚いた。


新国立劇場は、東京・初台にある。

初台は、新宿から京王新線で一駅だ。

昔、この京王新線に行くのが苦手だった。かならず京王線と間違えたものだった。(笑)


東京・初台は、まさしく音楽の街と言っていいのではないか?


ここには、東京オペラシティコンサートホールと、そしてこの新国立劇場が併存しているのだ。

クラシックファンにとっては聖なる音楽の神殿の街といえる場所だ。


初台駅で下車すると、もうそのまま東京オペラシティコンサートホールと新国立劇場にそのまま直結してアクセスできるようになっている。自分はこの駅ホームを降りたときから、あ~~~初台は音楽の街というイメージが強いのだ。


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もうこうやって駅のホームに音符の絵柄のデザインがあるんですよね。素敵です。音楽の街という感じがします。


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まず東京オペラシティコンサートホールから紹介していこう。


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自分は新国立劇場よりもやはり圧倒的に東京オペラシティコンサートホールに通うことが多い。ここのホールは素晴らしいですね。教会のような三角錐の独特の形状をしていて、音響も素晴らしい。いい響きしています。響きが豊潤ですね。


コンサート企画としてもどちらかというと、伝統というより新しい企画を取り扱うことが多いですね。ジャパンアーツさんのアーティストさんは、この東京オペラシティを中心に展開することが多いですね。


自分は東京オペラシティというと、どうしても新しいコンサート、というイメージが強いです。


東京オペラシティコンサートホールというのは、東京オペラシティビルという複合施設の中に入っているコンサートホールなのです。複合施設ビルの中の1施設という位置づけです。


初台駅からは直結なんですが、その通る経路の途中に見える景色がいかにも都会的でクールな装いで素敵です。


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自分はこのコンサートホールに来るたびに思うのは、座って待つところがないな、と思うことです。これ本当に困るのです。自分は歩行障害なので、ずっと立ってられません。座りたいです。でもここは座るところがないんですよね。自分は開演ギリギリが嫌いなので、いつも何時間も前に到着します。そうすると座るところがないというのは異常に困るのです。


自分の脳内意識の中では、東京オペラシティコンサートホール=座るところがない・・・なのです。開場時間までずっと立って待っていないといけない。


困った挙句、ホールエントランスから降りたところのこの広場の椅子に座っていることが多いです。(笑)でも外なので寒いです。とくに冬はあり得ないです。


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東京オペラシティのホールに行くまでに、このような広場があります。


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自分は数年前からこの広場にできた英国パブ、ブリティシュパブが気になって仕方がなかったのです。


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いつか入ってみよう、とずっと思っていてようやく今日実現できました。

店内はかなり本格的な英国パブです。本場に負けない本場志向だと思います。


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・・・ところが、料理を頼んでみるのですが、英国ビール・ハーフパイントとフィッシュ・アンド・チップス、そしてローストビーフを頼んでみました。まさにイギリス料理の定番です。


・・・これが・・・


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これはフィッシュ・アンド・チップスにかけるイギリス特有のソースだそうです。


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貧祖なんだな~。(笑)

こりゃ次はないな、と思ってしまいました。(笑)


せっかく店内装は本場志向なのにもったいないなと思いました。

いつぞやの渋谷の英国パブのほうがはるかに料理は美味しかったです。


ふつう首都圏のコンサートホールというのは、隣接しているエリアにかならずカフェとか食事処のエリアがあるもんなんですね。そこにビジネスが発生するからです。


ところが東京オペラシティコンサートホールの近くにはまったくないんですね~。(笑)

都会のビルの中という感じなので、感覚的には無機質な感じなのです。


あえて言えば、この椿屋珈琲でしょうか?


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ここは困ったときは入りますが、基本高いですね。貧乏庶民は高すぎると思います。コーヒー1杯でもすごく高いです。ケーキなんか一緒に頼むともう青天井です。



東京オペラシティコンサートホール周辺はほんとうに、よく言えば都会的なんですが、ぶっちゃけ言うと無機質な空間という感じなのです。(笑)


ここに展開する空間も、無機質でどちらかというと芸術肌というセンスを感じます。


こんなオブジェもあります。(笑)


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でも最近気づいたことなんですが、この東京オペラシティビルの上階、ほんとうに53階とか54階とか食事処がたくさん集まっているんですね。すごい上にあるので全然気づかなかったです。焼肉の叙々苑とか、いろいろ入っています。


自分はこの中で、とても気になるお店を発見しました。


それが松坂牛のよし田です。


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ここは凄いですよ。もともとYOSHIDAというジュエリー、宝石を扱うお店なのです。それが一興ということで松坂牛の専門店を開いちゃったのです。ビジネスって本業よりもサイドビジネスのほうがうまく行くケースが多いですね。これも世の中の常、神様のいたずらなのです。


そしてここは東京オペラシティビルの53階にあったりするので、いわゆる展望レストランで、ここから見下ろす東京の絶景の景色は最高なのです。夜景なんか最高だと思いますよ。やはり夜景のほうがインパクト強いですね。


松坂牛を使ったいろいろなフルコース。ステーキ、鉄板焼き、すき焼き、しゃぶしゃぶ、なんでも来い、すべて揃ってます。


ところがお値段を見ると、5万とかします。(笑)


ごっごっ五万!!!


食事に五万もかけるか!


自分はいままでの人生あまり豊かな食生活とは縁がなくジャンキーな食生活を送ってきましたが、若かりし頃、財力にブイブイ物を言わせていた時代。彼女とのデートで、赤坂見付、表参道、銀座とかいわゆるステレオタイプ(笑)なデートを重ねていましたな~。


そんな中で最高級のディナーの経験は、紀尾井ホールの近くの赤坂見付のホテルニューオータニに入っているフレンチのトゥール・ダルジャンです。


ここは凄いですよ。ドレスコードがあって男性はジャケット着用を義務付けられます。

店内の内装もすごくゴージャスです。現世とは別次元の装飾が施されています。


自分はここで3回ほどフレンチのコースを堪能したことあります。

1回につき5万かかりました。(笑)


まさに財力にブイブイ物を言わせていた怖いもの知らずだった青い青年だった自分。


”5万円かけてフレンチを堪能する。”


そういう行為がステータスだった時代。

まさにバブルの時代でした。


トゥール・ダルジャンはパリに本店があって、パリのトゥール・ダルジャンも行ったことあります。ロンドンに住んでいたとき、パリに遠征して、挑戦しました。


いまはきっと英語メニューもあると思うのですが、当時はフランス語のメニューしかなかったです。肉料理(Viande)、魚料理(Poisson)、前菜(Apéritif)を頼りに適当に見繕って、メニューを指さしてオーダーします。海外のメニューオーダーでこれをやるとまったく見当はずれなものがやってきたりして、笑えるのですが、このときは結構想像通りというか合っていたような気がします。


パリ現地のトゥール・ダルジャンに行けたことは、自分の人生での食生活の中で最高の名誉であり、誇りでもあります。


日本に帰ってからも赤坂ホテルニューオータニのトゥール・ダルジャンは3回くらい楽しみました。


世界の料理の中でいちばん美味しいのは、やはりフレンチとイタリアンと言われていますが、自分からすると、イタリアンも美味しいですが、やっぱりフレンチがいちばんいいです。フランス料理が最高、ナンバーワンだと思います。フランス料理には芸術性と気品がありますね。


まさに1回5万のこの世の贅沢を尽くし切ったディナーなのですが、もうこういう冒険はできませんね。(笑)もう無理です。若い頃だったからできたことです。いまは完全に和、居酒屋系のほうが断然居心地いいです。


これからセカンドステージと言われる経済的に制約を受ける新しい生活を始める自分。老後貧乏になる前に、いま一度、赤坂ホテルニューオータニのトゥール・ダルジャンを最後の晩餐としてもう一回楽しもうかなと計画中です。一夜限りの贅沢です。


ずばりタイトルは、”美食倶楽部 トゥール・ダルジャン”で決定です。

美食倶楽部は、すき焼き人形町今半をリリースしてから予算不足で頓挫していた企画ですが、トゥール・ダルジャンで復活です。まさに美食倶楽部の名に恥じない最高の贅沢だと思います。


ちなみにいまネットで調べてみると、いま赤坂のトゥール・ダルジャンのフレンチコースは、大体3万円くらいで楽しめるようです。だいぶ下がってきましたね。当時は5万かかりました、です。


すみません・・・かなり脱線しました。(笑)


松坂牛のよし田のメニューがどれも5万の値段ということで思いっきっり反応してしまいました。自分にとって食事に5万円も払うというのは、まさしく自分の記憶の中で条件反射的にトゥール・ダルジャンのことを思い出してしまうのです。


自分はこの日、東京オペラシティビルの53階まで昇って、よし田で大行列ができていたところに並んでいたのですが、スマホで値段を調べてみると、どれも5万するので、ひぇぇぇえええ~いくら松坂牛とはいえ、すき焼きやしゃぶしゃぶに5万もかけれるか、と思いました。


自分が狙っていたのは、ランチメニューの黒毛和牛のすき焼き御膳です。1,500円です。

これなら自分でも大丈夫です。


ところが限定メニューで20食限定なのです。

この大行列ですからあっという間に完売です。


もうあとは5万のメニューしか残ってないです。(笑)確かに東京の絶景の景色を見下ろせるという喜びもありますが、ここに並んでいる人はみんなすき焼きやしゃぶしゃぶに5万もかけるだけの財力があるのでしょうか・・・

驚きとしかいいようがないです。


自分は限定メニューが完売となった時点で、すごすごと退散して帰ってきました。(笑)


東京オペラシティビルはほんとうにゴージャスな施設だと思います。


初台駅から同じく直結の新国立劇場。

まさに日本のオペラの中心、神殿であります。


しばらくご無沙汰しておりました。8年間くらいまったく記憶にないです。(笑)


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超久しぶりの新国立劇場。

そんなに変わってませんでした。


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ホワイエ空間もあの当時のまま。


新国立劇場のホワイエといえば、やはりこのサイドにあるドリンクコーナーや今日の演目に合わせたスィーツとかでしょうか・・・いつも美味しそうだな~と思いながらも、お金がなくて諦めています。


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新国立劇場もついに電子マネー、クレジットカードが使えるようになりました!

まさにコンサートホール、オペラハウスのDX化は必要ですね。


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ブレイクのときのドリンクコーナーは依然と比べると割いているスペースが広くなったような気がします。以前はこんなに大所帯だったかな?と思いました。


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今回すごくびっくりしたのは、ブレイクのときにホワイエでガラス窓の外に向かってみんなその方向で椅子に座っているこの光景です。


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これはかなりビックリして、なんだ、なんだ?と思ってしまいました。

ある意味、ちょっと違和感というか異様な感じがしました。


でもすぐにその意味が分かりました。

みんな中庭の絶景を見ているんですね。


新国立劇場の中庭は風光明媚な観光スポットなのです。これも自分はあまり経験がなかったことです。新国立劇場の中庭はほとんど経験がないです。


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とても素敵な場所だと思いました。新国立劇場にはこういう見せ場もあるんですね。初めて体験しました。全然気づかなかったです。



座席で腰の部分に保護クッションが常設されていましたね。これは今回のワーグナーだけの配慮なのでしょうか。それとも全公演でこういう配慮がされているのでしょうか。(たぶん後者)ワーグナーは長いので腰を傷めないようにという配慮なんでしょうね。素晴らしいです!


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ちなみにバイロイト祝祭劇場の椅子です。ケツ痛い。(笑)


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まさに修行僧というか、これは拷問に近いですね。(笑)ワーグナーのような4時間から5時間もかかる長いオペラでこれはツラいでしょう!一説によると、ワーグナーは自分の長いオペラでお客さんが寝ないように、わざとこういう椅子にした、という話を聞いたことあります。




超久しぶりの新国立劇場。まったく変わっていないと思うところも多かったですが、新たな発見というか驚きもあったことは事実です。



これからもご無沙汰の無礼をしないように、なるべく予算をやり繰りしてオペラを観るようにしたいものです。


新国立劇場オペラで、ちょっと魅かれるものがあります。


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モーツァルトのコジ・ファン・トゥッテです。この舞台装置、キャンプベースのコジ。これは覚えていますよ!


いまから11年前の2013年ですね。新国オペラで観てきました。当時、BISレーベルから北欧の歌姫ということでミア・パーションが華々しく活躍していて、そのミア・パーションが出演するということで、新国まで行ってきたのでした。


SACDで聴くミア・パーションはとても魅力的な声だったのですが、実演での彼女の声は、声帯が狭い感じで、ちょっと耳に突き刺さるような感じで、ちょっとがっかりした記憶があります。いま彼女はどうしているのでしょうか・・・


キャンプベースのコジはよく覚えているので、きっと11年ぶりの再演なんですね。トリスタンとイゾルデといい、あの頃の名演よ、もう一度という感じですね。


ちょっと魅かれるんですよね~。

行ってみたい。。。


オペラはいろいろな演目を幅広く見ていきたいと思っていますが、その意識とは別に結局自分の鑑賞履歴としては、同じ演目を何回も観るというパターンが多いんですよね。


コジ・ファン・トゥッテも2013年のザルツブルク音楽祭で体験できました。


こうしてみると、東京・初台というところは、クラシックファン、クラシック愛好家にとって聖なるクラシックの聖地でもあり、神殿のような場所だと思います。


この初台駅のホームに降り立つと、あ~来たな~と感慨深くなります。

これからも大事に通いたいと思います。












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