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ヤノフスキ&N響 定期公演 [国内クラシックコンサートレビュー]

よかった~~~。すっすごかった~~。(大滝汗)
                      
ヤノフスキ&N響の音が戻ってきた。この音、このサウンドを待ってました。
               
やっぱり前回はお疲れだったんですね。(笑)
トリスタンにあまりに完全燃焼し過ぎてガス抜きだったんですね。
                    
ていうか、ワーグナーにガラは合いませんよね。(笑)
余計消化不良でストレスになるだけだと思います。
              
このコンビは、やはりこういう音を出してもらわないといけない。
聴衆もそれを期待していると思います。
                         
じつにひさしぶりのNHKホール。ここはステージの音が客席に飛んでこないことで有名なのですけど、2階席でしたが、全然そんなに気にならず。十分楽しめました。すごい迫力でした。
                          
ヤノフスキが指揮をするN響はドイツのオーケストラの音がします。まるでドイツの楽団のようです。厳格で男らしい。無駄を排除した淡調感とは無縁のきっちりと骨格感のある音。
                                   
ヤノフスキはもともとドイツ音楽を専門として指揮者として極めてきたところがあるので、その遺伝子をN響にインプリして後世に伝えようとしている感じがします。
                                    
オーケストラは、ほんとうに指揮者によって出てくる音が全然違ってくる。いつも自分が思うのは、オーケストラの団員さんってすごい大変なんじゃないかということ。首席指揮者はもちろん、客演指揮者など、海外からたくさんの指揮者を招聘してくる。とくにN響のような資金力の安定している楽団は、その招聘力は凄いものがある。
                    
そのたくさんの指揮者1人1人に、自分たちのサウンド作りを委ねるのだ。
                              
リハーサル。
                             
その指揮者、指揮者で、いろいろなアプローチ、音作りがあって、それを叩き込まれて、その指揮者の数だけ、自分をカメレオンのように変幻自在に変化させていかないといけない。自分のような不器用な人はついていけませんね。
                                 
そのオーケストラをはじめて振る指揮者の場合、”ファーストコンタクト”と言って最初の30分だったかな(時間はよく覚えていない。)、この30分の間のリハーサルでの指揮者とオーケストラのやりとり、相性で、その後のすべてが決まってしまうのだそうだ。最初の30分間で両者間でしっくりいかない場合は、結局最後までその指揮者とオーケストラはうまくいかない。逆にすんなりうまく溶け合えば、その後がミステリーなサウンドを作り出すことができる。オーケストラの団員たちにとって、演奏していて自分を天国の境地に連れてってくれるような指揮者が最高なのだ。逆にこりゃあかん、と見限った場合、もうその指揮者の言うことは、そのまま右耳から左耳へスルーしながら、いっさい構わず自分たちで勝手にサウンドを作ってしまう。
                      
そんな感じなんだろう。
                                         
指揮者ってつらい稼業だ。あの指揮台に立って、大勢のオーケストラと面と向かって対話しながら、外国オーケストラであれば英語かドイツ語で説得していかないといけない。オケのみんなは受動態だから、指揮者ってツラいと思うな。孤独な職業だ。
                             
この最初の30分のファーストコンタクトですべてが決まってしまうのだ。
                                     
このファーストコンタクトは、自分は佐渡裕さんが初のベルリンフィルに客演ということで、NHKが連携取材してドキュメンタリーにした番組を見て知った。
                                 
佐渡さん、ドイツ語堪能なんですね。自分がずっと憧れていたベルリンフィルをはじめて振ることができる。ドイツ語で丁寧に一生懸命説明する佐渡さん。そのファーストコンタクトでじりじりと焦りが・・・
                                    
結局ベルリンフィルの団員たちからコンマスの樫本大進氏を通して、結局どういう音が欲しいのか、ダイレクトに端的に言って欲しい。そうすれば、その望み通りの音を作り出して提供する。
                                       
そんなことを言われてしまう佐渡さん。あわわ・・・ベルリンフィル怖ぇえ~。(笑)
                                      
佐渡さんを客演として招聘しようという動きはベルリンフィル内部のメンバーが発起人として動いたことだそうなので、やはり佐渡さんにはうまく行って欲しい、という願いからなのだろう。
                                    
指揮者とオーケストラの関係は、我々が想像している以上に難しい神経の磨り減る関係なのだ。もうお互い長年のパートナーでよく知っている間柄だとすごくやりやすいでしょうね。日本のオーケストラはみんなそういう良い関係が多いような気がします。
                                  
逆にN響のような海外からの招聘の客演指揮者が多い場合、オケの団員たちは大変である。良好な関係を築けるかどうか、ファーストコンタクトがうまく行くかどうか。。。
                                  
ほんとうにその指揮者によってどんな音を作りたいか、全然違うし、その作法も全然違う。その都度、その指揮者に自分たちを合わせる作業というのは大変ではないか、と思うのだ。とくに招聘指揮者の数が多い場合は。
                          
ヤノフスキのリハーサルは非常に厳しいそうだ。
かなり厳しいという話を聞いている。
                             
オケがうまくできないときは、事務所に怒鳴り込んでくる剣幕らしい。
                               
いっさいの妥協がない巨匠なのだ。
                              
自分がヤノフスキの指揮でなにがいちばん素晴らしいかというと、オーケストラから大きな大音量を出し尽くせる指揮者だということだ。これだけオーケストラを鳴らせる、これだけオーケストラから大音量を引き出せる、その手腕というのはなかなかそうはいないと思う。
                                    
指揮者にはほんとうにいろいろなタイプがいて、音楽の解釈に拘る、その解釈の仕方に自分の意見を反映させる、曲の最初から最後に至るまでの抑揚のつけ方、ドラマをいかに造るかに拘る人、その音楽の作り方、もういろいろである。
                                   
でもオケから大音量を引き出せる、オケを鳴らせる、ハードボイルドである、という基本は、なかなかできてない難しいところではないか。
                                     
もちろんヤノフスキの場合、ワーグナーを中心にドイツ音楽主体でやってきた人なので、もともと畑が違う人からすると違和感でしかないかもしれないが、自分は、ヤノフスキのそこが大好きである。
                                  
自分は聴いていて、オケをガンガンに鳴らして、自分を陶酔させてくれる指揮者が好きだ。終わった後もその余韻が続き、興奮が冷めやらない、そんなトリップさせてくれる男らしい指揮をする指揮者が好きだ。
                                       
指揮者によっては、カラフルな色彩感を強調したく、抑揚を大きく、全体をこう膨らませるような音作りをする人も多い。ヤノフスキはその反対で、非常に引き締まった音作りをする人で、全体がビシッとこう締まった感じで、どちらかというと機能的でシンフォニック的な音作りだ。そしてとにかくテンポが早い。すごい高速な人で、もうサクサク進んでいくという感じである。
                                         
もっと叙情的に歌い上げるようにやってほしい、という声もあるが、自分はヤノフスキのワーグナーを聴いている限り、もう十分すぎるくらいドラマティックで陶酔感があると思うし、かなり酔える。それでいて高速でハードボイルドで引き締まったサウンドである。
                                         
もうヤノフスキのワーグナーに身を沁みつかせてしまうと、昔のワーグナー録音や演奏には戻れないような気がする。古臭く感じてしまい、とても聴いていられないような気がする。
                                       
東京・春・音楽祭、そしてN響定期と長年のヤノフスキとN響との共創作業で強固なパートナーシップと信頼関係に結びついている両者。
                                          
すっかりヤノフスキの音造りのノウハウを叩き込まれているN響。
                                   
その鉄壁のコンビで繰り広げられた今日の公演は圧巻だった。
                                    
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シューベルト 交響曲第4番「悲劇的」とブラームス交響曲第1番。
                            
シューベルトの4番は、軽やかさと重厚さが相まみえた不思議な曲調で、でもそこにヤノフスキらしい厚い重厚なサウンドに光るものがあって絶品だった。この曲は、あまり自分は経験の記憶にないのだが、なかなか素晴らしい曲だと感じた。
                                   
そうしてなによりも本命は後半のブラ1だろう。まさにドイツ音楽そのものというカラーのブラ1。自分は昔、2011年頃のベルリンフィルのヨーロッパコンサートで、バレンボイムが指揮したブラ1が名演で忘れられない。ヨーロッパコンサートなので、イギリスの教会のようなところでの特別演奏会なのだが、なかなか理想に近い演奏だった。
                                        
ブラ1というと、自分の頭の中にはその演奏のイメージが強くこびり付いているので、最初にヤノフスキのブラ1を聴いた瞬間、速すぎるよ~。(笑)あまりにサクサク進むので、速過ぎると思ってしまった。ブラ1の冒頭は、あの歌い上げるような腰のある、というか、そういう演歌のこぶしのような粘りが必要だと思うのだが、ヤノフスキのブラ1は、かなり機能的でサクサク感満載で、あっけない感じでどんどん進んでいく。
                     
でも第2楽章、第3楽章では美しく歌わせるところは、美しく歌わせ、充分に緩急を示していた。決して一本調子ではない。やはり最終楽章が見せ場、最高のクライマックスであろう。
                       
あれだけ速かったテンポを若干緩め、重厚感たっぷりに鳴らすその音のさまは、まさに圧巻そのものであった。この第4楽章を聴いただけでも、ヤノフスキは速いだけではない、充分歌わせるだけの緩急はあると確信できる。
                  
まさに酔えたブラ1であった。
                               
自分はブラームスの交響曲第1番は、ブラームスがその着想に20年かけたというだけあって、曲の構造や音階の進行がかなり大仰な感じで、ちょっと大げさだよな~という印象を昔からずっと持っていた。もっとさりげない軽さというのがあったほうがいいと思っていた。とにかくブラ1は大仰なのだ。
                                   
でもこの日の最終楽章を、このヤノフスキ&N響の重厚なサウンドで聴けて、やはりこれくらいじゃないと大作とは言えないなと思い直したところである。
                  
シューベルトとブラームス両方において、首席オーボエ奏者の吉村さんが大活躍だった。ソロパートが多く、すごい目立っていて素晴らしい大活躍だと思いました。ブラボー!
                      
                                  
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(c) NHK交響楽団 NHKSO Facebook
                              
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2024年4月 N響定期公演
2024年4月14日(日) 14:00~
NHKホール
                        
指揮:マレク・ヤノフスキ
                 
妥協なき巨匠と拓くブラームス<<第1番>>の新たな世界
NHKホール<Aプログラム>
                     
シューベルト 交響曲第4番 ハ短調 D.417「悲劇的」
                            
ブラームス 交響曲第1番 ハ短調 作品68
                   
                     
                   
                                   
                    
                             

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